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『愛の勝利』(第1幕)翻訳掲載 [マリヴォー]

ホームページ "sanki's empty space"に、新たに
『愛の勝利』第1幕の翻訳と簡単な解説を掲載しました。
解説の文章を転載します。面白いお芝居なのでぜひ翻訳もお読みください。

『愛の勝利』は三幕の喜劇。
その面白さは、なんといっても、主役の女優が男装で“男役”をすること。
“男役”といっても、登場人物的には男子ではなく女子。女子が、恋する男子に近づくために男子の振りをするしかない。うまく男子として立ち回れるのか、変装は見破られないのか、いつ女子であるとカミングアウトするのか(それやらないと恋の成就がない)・・・そのあたりが、このお芝居の尽きせぬ魅力です。
男と女という性別二元論的な秩序を壊そうとするものではありません。主人公はトランスジェンダーではないのです。ですが、そこに出現するのは明らかにジェンダーをトランスする主人公であり、“彼女”は、ある時は男子として、ある時は女子として振る舞うことで、男女二元論をベースとした社会的・精神的秩序を侵しているということも否定できません。
“彼女”は、男子として、先ず、彼の友情を獲得しようとすることから始め、それにはあっけないほど簡単に成功します。彼は、あっという間に“彼女”に対し“特別な友情”を抱いてしまう。それは、彼が“彼女”のうちに、すでに女性を感じ取ったからなのか?それとも、そこにはむしろ同性愛的な要素を見てとるべきなのか?あるいは、“彼女”の“特別な”魅力とは、ジェンダーをトランスするまさにそのことから生まれるのか?

舞台設定は古代ギリシャのスパルタ。主人公レオニードはスパルタの若き女王。アジスという青年を見て、瞬時に恋に落ちた。さて、この恋路の邪魔をするのは二人の若者たちの因縁・・・スパルタの王位は、レオニードの伯父から、その死後、レオニードの父へ、さらにその死後、レオニードへと受け継がれた。ところが、その王位はもともとアジスの父から伯父が簒奪したもの。正当な王位継承者は、レオニードではなくアジスの方。王子は赤ん坊の時に行方知れずとなり、その後、哲学者エルモクラートと妹レオンティーヌに引き取られ、密かに育てられ教育を施され、いまは立派な青年となっている。エルモクラートとレオンティーヌはもちろん王位の奪還を狙って画策している。二人はレオニードの敵。愛するアジスもレオニードの敵である。
すでにエロスが政治と解きがたく絡み合うこの状況で、さらにエロス・レベルでも哲学者兄妹は厄介な存在。彼ら二人にとって、愛とか恋とかは軽蔑すべきもの。人間の弱さと結びついたひたすらネガティブなもの。当然アジスにもそういう教育を受けている。アジスは政治的にレオニードの敵であるばかりか、アジスは女というもの全体を憎んでいる・・・少なくとも、そう教育されている・・・
恋は諦められない。しかし、正面からアジスに近づくわけにはいかない。さあ、どうする、どうする、というわけで、レオニードは男に変装し、名前もフォシオンと変えて、女従者(こちらも男に変装)とともにエルモクラートの屋敷にやって来る・・・

『愛の勝利』はイタリア劇団のために書かれた芝居。1732年に初演されています。
劇団のメンバーひとり一人をイメージして登場人物がつくられていますが、主役のレオニード(フォシオン)はもちろんあのシルヴィアが演じました。シルヴィアはすでに『偽の女従者』で、男装する女を演じ大成功を収めていました。タイムマシンがあったら、シルヴィアのフォシオン(レオニード)をぜひとも見に行きたい。美しい男を演じ、魅力的な女を演じるだけではなく、男と女の間をさまざまに揺れ動くジェンダーを、さらには男と女の両性具有を、名女優シルヴィアは見事に演じて見せてくれたはずだから・・・





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『奴隷の島』演出付き台本について [マリヴォー]

先日、ホームページをリニューアルしました。その際に、
『奴隷の島』の演出付き台本を新たに掲載しました。
その演出についてです。

この演出付き台本は、私のゼミ授業でリーディング公演をしました、
2014年だったと思いますが、その時に用いた台本です。
リーディング公演ですが、この芝居は、少し演出をつけないと、
観ていてわかりにくいところが結構あります。

例えば、戯曲テクストの最初の台詞からリーディングを始めると、
主人イフィクラテスと従者アルレーッキーノの関係が
いまいちつかめていないところから芝居が始まってしまう。
イフィクラテスは悪人ではないのですが、主人という立場に慣れて、
傲慢になっている。自分勝手で、従者を、それこそ
「奴隷」のように扱っている・・・そのベースを作っておかないと、
その後の主従の権力関係の逆転が説得力を持たないことになります。

それで、芝居が始まる前にプロローグというものを置いて、
いくつか「前提」を作っておくわけです。
この演出では、まず「船の難破」から始まります。
それから、島に打ち上げられた主人たちが、その従者をこき使う、
その身勝手さが描き出される・・・
それがリーディングの場合も必要になります。

『奴隷の島』は、マリヴォーが「イタリア人劇団」のために書いた芝居です。
マリヴォーの芝居はフランス語で書かれており、従って、
「イタリア人劇団」といっても、言葉はフランス語で上演するのですが、
その演劇スタイルは、いわゆるコメディア・デ・ラルテ風のもの。
コメディア・デ・ラルテは身体表現を重視する即興性の強い演劇形式です。
もともとは、仮面をつけて演じるドタバタ喜劇。
マリヴォー劇のアルレーッキーノ(アルルカン)が仮面をつけて登場するのは、
そこから来ています。

『奴隷の島』では、テクストの最初の台詞の前に、そういう
「イタリア人劇団」特有のアップテンポの身体表現があって、
観客を大笑いさせていた・・・と想像できます。
リーディングでは、そこまではなかなかできませんが、
やはりプロローグは置いたほうがわかりやすい。

台詞の開始以降は、リーディング公演なので、演出は、移動・・・
「a地点からb地点へ移動する」といった・・・移動が
中心となっています。台本を持って動くのですが、ある意味
“幾何学的な”動きが、観ていても面白いのではないかと思います。

演劇部のみなさん、演劇に興味のあるみなさん、
この演出付き台本を参考にして、リーディングしてみませんか?





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『コロニー』演出付き台本 [マリヴォー]

コロニーフライヤー.png

ホームページ sanki's empty space に『コロニー』演出付きを掲載しました。
これは2016年に、私のゼミのリーディング公演で使ったものです。

女性の“活躍”、女性の“活用”・・・掛け声ばかりで、
「この国は女性にとって発展途上国だ」というコピーが
多くの働く女性たちの共感を呼ぶ“現代”という私たちの時代・・・
マリヴォーの『コロニー』は、このテーマを“ガチ”で取り上げました。300年前に・・・

ある国の住民が、外国の侵略を受け、祖国を捨てて逃げ出した。
彼らはある島にたどり着き、そこで新たな国づくりを始める。
えっ?しかし、そもそも、祖国を捨てるという事態を招いたのは、
男たちによる無能な政府と、男たちのつくったお粗末な法律ではないか、
と女たちは言いだします。この期に及んで、
男たちはまだ女性の意見を聞こうともせず、自分たちだけで国をつくろうとするのか?
女たちはついに立ち上がる・・・

2016年はゼミの学生数が多く、ダブルキャストで2回公演を行いました。
ダブルキャストになったので、ちょっと面白いことができました。
マリヴォーのテクストにはないコロスをつくって、
その日の裏キャストにそのコロスになってもらった。
コロスを客席側に配置して舞台側との温度差を強調し、同時に
観客をコロス側に並べることで、観客たちの“当事者性”を暗示する・・・
みたいな、そういうことを、まあ、やってみることができた。

コロスは、マリヴォーのテクストには存在しませんが、
『コロニー』という芝居が、直接あるいは間接的に、
アリストファネスの『女の平和』にインスピレーションを得ていると思われるので、
アイデア的には可能と思われます。ちなみに、
コロスというコレクティブな存在が台詞を言うのだけれど、台詞はそのままです。

ホームページURL : http://www012.upp.so-net.ne.jp/sankis-es/

画像は公演の時のフライヤーです。
公演の準備に追われ、公演時にはブログで紹介しそこないましたので、
いま、ちょっと遅いですけど紹介します。








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『恋のサプライズ2』第2幕演出付き台本 [マリヴォー]

ホームページ sanki's empty space に
『恋のサプライズ2』第2幕の演出付き台本を掲載しました。
これは、2015年に私のゼミでリーディング公演を行った時の台本です。
第1幕はやはりゼミ授業ですでにリーディング公演をしていて、そのカーテンコールで
「いつか第2幕をやりたいと思っています。その時はぜひ見に来てください」
と言っていたのが、その2年後に実現しました。
それで、第2幕という、一見中途半端な上演なんです。
でも、第1幕を見ていない人は、当然、話が途中からなのでよくわからない。
だったら、最初に第1幕のダイジェスト版を加えよう、ということになりました。
ダイジェストにしたのはまずは時間の問題。上演時間は1時間、長くて1時間半まで
という制約がありました。学生たちにとっても、1幕と2幕の通しでは負担が過ぎる。
それでストーリーと、登場人物のキャラクターが見えるように、
また、出演者がそれぞれに活躍できるように、
そういうダイジェスト版を作りました。

この芝居は、2幕でいったんハッピーエンド的に終わって、
3幕では新たな問題が発生してドタバタする・・・という構成なので、
1幕と2幕があれば、芝居として十分楽しめます。

なので、機会があったら、この台本を使ってリーディング公演などしてみてください。
笑いを取る芝居というのは難しいですが、学生の公演でも、
けっこう客席から笑い声が聞こえてきて、うれしかった記憶があります。

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ホームページ リニューアルしました [マリヴォー]

ホームページ sanki's empty space をリニューアルしました。
マリヴォー作品の翻訳は PDF にして、かなり読みやすくなったと思います。
『奴隷の島』の演出付き台本も掲載しました。
これは、私のゼミ授業でリーディング公演をした時のものです。
『恋のサプライズ2』『コロニー』についても、
リーディング公演時の演出付き台本を掲載する予定です。
また、マリヴォー『愛の勝利』(全3幕)の第1幕の翻訳を間もなく掲載予定。
お楽しみに!
http://www012.upp.so-net.ne.jp/sankis-es

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マリヴォー・リーディング公演第3回のお知らせ [マリヴォー]

無題.jpg
こんにちは。
今年で第3回目となります「マリヴォー・リーディング公演」を、
来る12月3日と4日、京王線仙川の「せんがわ劇場」で行います。
開演は18時30、入場は無料です。
ぜひお越しください。

今年の出し物は『恋のサプライズ2』第2幕。
一昨年「せんがわ劇場」で第1幕のリーディング公演をしました。
つづきはいつやるの?というご要望にお応えして、
今回はその第2幕。
第1幕のダイジェスト版ショートバージョン付なので、
初めてご覧になる方も100%お楽しみいただけます。

このリーディング公演は、
白百合女子大学フランス語フランス文学科の私のゼミ授業
「リーディングで学ぶフランス古典喜劇」から生まれたものです。
演じるのはゼミの学生たち。
「せんがわ劇場」と白百合女子大学の「連携事業」一環として、
学生たちが授業の成果を劇場で発表します。

リーディングといっても、いわゆる“朗読”ではなく、
身振り手振りも付きますし、舞台上を動き回りもします。
音響と照明はプロの方が担当します。
普通のお芝居として楽しめますので、
木曜の夜に、金曜の夜に、フランス古典喜劇でひと笑いしたいなあ、
とお考えのあなたに熱烈おすすめ!

女子大学なので、男役も女役もぜんぶ女子学生がやります。
女役はスカートを、男役はズボンを履いて演じます。

『恋のサプライズ2』は、もちろん恋の喜劇・・・
侯爵夫人は愛する人を失ったばかり。
シュヴァリエも恋人と別れたばかり。
悲しみに沈む2人は二度と恋などしないと誓った。
侯爵夫人とシュバリエはお隣同士。
互いの悲しみを語り合い、慰め合ううち、共感はいつの間にか恋心へと・・・
しかし、二度と恋などしないと誓った2人は、
その奇妙な感情を恋心と認めるわけにはいかず、あくまでも友情と思い込む。
けれど、恋を友情と名付けてしまったばっかりに、
2人の恋はとんでもない方向に・・・

予約は「調布市せんがわ劇場」 03 33 00 06 11
予約なしでぶらりと来られるのも大歓迎です。


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マリヴォー『恋のサプライズ2』翻訳完結! [マリヴォー]

マリヴォー『恋のサプライズ2』の第3幕翻訳を
ホームページsanki’s empty spaceに掲載しました。
http://www012.upp.so-net.ne.jp/sankis-es/

これで『恋のサプライズ2』が完結いたしました。
HPのトップページから目立つリンクを張っていますので、そこからどうぞ。
めちゃ面白いですよ。

第2幕の終わりで、邪魔者がいなくなったと思って、安心していたあなた、
彼らは第3幕でも大活躍です。

覚えていますか?
オルタンシウスと伯爵が、公爵夫人とシュヴァリエの”友情”の邪魔をするんでしたね。

伯爵の作戦はなかなか手強いです。
オルタンシウスも、あいかわらずいい味出してます。

そして、”友情”はいかにして”友情”という名前を放棄するのか?

仲間と一緒にリーディングなどしてみてください。
声に出すだけで、人物たちが生きはじめますよ。
フランス古典喜劇が現代日本語で、笑いとともに、”いま”に甦ります。

*注がたくさん付いていますが、
 専門的な注ではなく、
 ほとんどがリーディングをする際のヒントになるものですから、
 大いに活用してください。


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マリヴォー 『恋のサプライズ2』 第2幕翻訳完成 [マリヴォー]

遅くなりました。

マリヴォー『恋のサプライズ2』の第2幕翻訳を
ホームページsanki’s empty spaceに掲載しました。
http://www012.upp.so-net.ne.jp/sankis-es/

ホームから直接第2幕に目立つリンクを張っているので、
そこをクリックしてね。

第2幕一挙掲載です。
とにかく面白いよ。第2幕だけ読んでも面白い。

『恋のサプライズ2』については、ブログ記事
「リュック・ボンディの『恋のサプライズ2』」(2009/12/01)で紹介しています。
また、ブログ記事「エリック・ロメールとマリヴォー」(2010/04/20)でも触れています。
2010/06/05 の記事「マリヴォー『恋のサプライズ2』の翻訳掲載開始」も見てください。

ざっと第1幕のあらすじ・・・

侯爵夫人とシュヴァリエは互いに好きになってしまった。
じゃあ、べつにただ「好き」と言えばいいじゃないの・・・ということなんですが、
世の中そんなに単純じゃない。

二人とも愛する人を失ったばかり。
一生悲しみのうちに生きていくと誓ったばかり。
口が裂けても、「好き」とは言えない。
とりあえず、友情という名前をつけてしのぎます。

さて、侯爵夫人の小間使いリゼットが、シュヴァリエのところへやって来て、
侯爵夫人と伯爵を結婚させたいのだけれど、
伯爵の友人として応援してください、と頼みます。
いつまでも悲しみに沈んでいる奥様を見ていられないのです、とリゼット。

伯爵と侯爵夫人がすでに愛し合っていると誤解したシュヴァリエは、
嫉妬に駆られて、これを断ります。

シュヴァリエの嫉妬を見抜いたリゼットは、
じゃあ、あなたが結婚してください、とシュヴァリエに言います。

”友情”に縛られているシュヴァリエにとって、結婚なんてもちろんタブー。
そもそも嫉妬することがタブー。
困惑のうちにこの申し出を断ってしまう・・・

しかし(ここから第2幕)、断られた侯爵夫人はプライドを傷つけられて・・・
私、もちろん結婚する気はないのよ、でも結婚を断られるのはいや!

さあ、愛し合う二人の行方は?・・・

絶対面白いから、読んでね。












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『恋のサプライズ2』 2 [マリヴォー]

マリヴォー 『恋のサプライズ2』 のシーン4から8までの翻訳を
ホームページsanki’s empty spaceに掲載開始しました。
http://www012.upp.so-net.ne.jp/sankis-es/
ぜひ見てください。

シーン5ではオルタンシウスという“偽学者“が登場します。
タルチュフのような“悪”の存在ではありません。
小間使いのリゼットを一生懸命口説いていますが、リゼットにはその気はなく・・・

シーン7では、いよいよ侯爵夫人とシュヴァリエの出会いです。
両方とも愛する人を失って悲嘆にくれています・・・が、
会った途端に二人はお互いを気に入ってしまいます。

“互いに好きだとは死んでも認められない”的な困った状況の中で、
気持はどんどん近付いていく・・・
芝居的には、見どころ見せどころ、です。


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マリヴォー 『恋のサプライズ2』の翻訳掲載開始! [マリヴォー]

マリヴォー『恋のサプライズ2』の翻訳を
ホームページsanki’s empty spaceに掲載開始しました。
http://www012.upp.so-net.ne.jp/sankis-es/

『恋のサプライズ2』については、ブログ記事
「リュック・ボンディの『恋のサプライズ2』」(2009/12/01)で紹介しています。
また、ブログ記事「エリック・ロメールとマリヴォー」(2010/04/20)でも触れていますので、
ぜひそちらもご覧ください。

『恋のサプライズ2』は1727年に初演されたマリヴォーの3幕の喜劇です。
その第1幕の第1景から第3景を訳しました。
『恋のサプライズ2』となっているのは、
この前に『恋のサプライズ』というのがあって、
そのセカンド・バージョンという意味です。

タイトルの「恋のサプライズ」は原文では “la Surprise de l’amour” で、
「恋の不意打ち」と訳されてもいますが、
フランス古典劇の「現代語訳」を試みるsanki’s empty spaceとしては、あえて
「サプライズ」という言葉で「不意打ち」を狙いました。

友情だとばかり思っていた私のあの人への気持ちが、
気がつくと恋愛感情だった、というサプライズ・・・
ある意味で、とてもマリヴォー的な芝居です。

『恋のサプライズ2』はダイアローグ劇です。
友情と愛情の間で言葉が揺れ、
理性と欲望の間で心が揺れ、
言葉が心と裏腹に微妙な嘘をつきつづける。
嘘をついていることに本人も気がつかない。気づいても、認めようとしない・・・

非常にすぐれたテクストなので、これを現代日本語に訳すことで、
ワークショップや演劇部の「練習」などにも利用できるのではないかと思います。
もちろん芝居としても面白いのですが、「教材」として、
日本演劇の「教育」的領域に新たなものをもたらせるのではと期待しています。
高校・中学の演劇部のみなさん、ぜひワークショップ的に利用してください。

また、翻訳テクストについて疑問・質問などありましたら、
お気軽にsanki’s empty spaceまでおたずねください。

というわけで、ここで、sanki’s empty spaceの紹介・・・というか、広報活動:

sanki’s empty spaceは「日本演劇におけるフランス古典劇のレパートリー化」を目指しています。(「レパートリー化」とは、例えばある同じひとつの古典劇をさまざまな劇団がさまざまに演じ、観客がそうした多様性を普通のこととして楽しむようになる・・・そういう状況を創り出すこと。)

sanki’s empty spaceは演劇翻訳のあり方を考え直そうとしています。翻訳はひとつではなく、演出する者により、演じる者により形を変えていくものだ・・・と、演出家や、俳優や、観客が普通に考えるような状況を創り出そうと目指しています。

sanki’s empty spaceは、同じ考えを共有する人たちと協力して活動したいと考えています。

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マリヴォー 『コロニー』 ついに完結! [マリヴォー]

マリヴォー『コロニー』の翻訳、
第15景から第18景までをホームページに掲載しました。
http://www012.so-net.ne.jp/sankis-es/

第18景が最終景なので、『コロニー』はこれで完結!
ぜひ読んでください。そして、ぜひ芝居をしてください。

『コロニー』は、男女の差別の問題を喜劇的に展開しているので、
「18世紀のフランスの古典だぞ」みたいなことをとくに意識しないで、
そのまま演じてけっこう面白いと思います。
ぜんぶを通して芝居にしなくても、
一部分を素材にしてワークショップ・・・みたいな使い方もあるかと思います。

160年前の芝居です。
18世紀という時代の枠は確かにあります。
『奴隷の島』のように階級差別がテーマになっている場合、
また『コロニー』のように性差別がテーマになっている場合、
現代から見て、終わり方がすこし「あまく」感じられるかもしれませんが、
これは一種の「様式」と見なすことで、劇全体があつかいやすくなるかと思います。

例えば、『コロニー』の場合、女性たちは、女性の政治参加を認めなければ、男性と一緒に暮らすことを拒否する、と宣言します。
政治レベルでの性差別撤廃のために、女性は、愛(あるいはセックス)を切り札にするわけです。
政治とエロスの混同は、ある意味、古典劇に特徴的なもので、そこが、古典劇(喜劇も悲劇も)の面白さでもあります。

けれども、この芝居をどう終わらせるかということになると、そう簡単ではありません。
はい、わかりました、これからは男女同権です、というようなラジカルな幕切れを提示しても、それでは観客たちの生きている時代とあまりにかけ離れている。
フランス革命までまだ40年ある。そのフランス革命だって女性の政治参加を確立できなかった。
女性が選挙権を持つのは20世紀です。
1750年に『コロニー』をどう終わらせるかについては、やはり1750年の「様式」というものがどうしてもあるわけです。「様式」ですから、そこに作者の「思想」や「メッセージ」を読み取るような種類のものでは必ずしもありません。

20世紀だと、やがていつの日か差別のない社会が実現するのよ、みたいな「ヒューマニズム進化論」がパワーを持っていて、そういう「進歩主義的」見方からすると、
やっぱりマリヴォーの階級意識とか性差別意識とかは「遅れている」と考えられたりもしたのですが、
でも、マリヴォー劇の面白さはべつに幕切れにあるわけではありません。

えっ?こういう終わり方するの?
ああ、でも、昔の作家だからしょうがないのかも。
こういう意識レベルがマリヴォーの「限界」なのかもね・・・って、
いえ、べつに、「限界」とかそういうことではなくて、「様式」なんだよ。
マリヴォーの面白さは、「政治とエロス」をめぐって男たちと女たちがどういうパフォーマンスをするかという、そういうところにあるので、
いわゆる「進歩主義的」な偏見にとらわれたまま『コロニー』を演出すると、全体がつまらなくなる。

21世紀の現代に生きている私たちは、世の中って差別のなくなる方向に向かっているのか、っていう、そのことにもう確信が持てないわけでしょう。
階級差なんてむしろどんどん大きくなっていくわけだし・・・
男女差別の問題は、やはりエロスが絡んでくるので、すごい複雑な議論になる、っていうか、
議論するときはエロスは脇に置いとこうよ、みたいなことになる。
草食系男子とか、そういう名前をつけてとりあえずしのいでおく。
少子化とか、そういう名前がつけば議論ができる・・・みたいな・・・
で、そういうカオス的な現代日本の男女関係の中に『コロニー』という芝居の場所があると思うんです。
「政治とエロス」で笑う芝居・・・

以下にホームページの方の『コロニー』紹介文を載せておきます。
ホームページに行かなくても、とりあえずここで読んでみてくださいな。

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マリヴォー 『コロニー』 5 [マリヴォー]

ホームページ sanki's empty space に
マリヴォー『コロニー』 の 第14景の翻訳をアップしました。

http://www012.upp.so-net.ne.jp/sankis-es/

全18景の芝居なので、残すところあと4景です。

男女差別のない新しい社会を築こうとする女性たちの戦いはつづきます。
第13景では、貴族の女性代表のアルテニスが男たちに最後通牒を突きつけました。
第14景では、平民代表のソルバン夫人が男たちに最後通牒を突きつけます。

主題と変奏的な面白さもありますが、
政治的問題が、同時に愛の問題でもあるという、かなり感動的な場面でもあります。

ソルバン夫妻は、長年連れ添った夫婦です。
リナという年頃の娘がいます。
夫婦の間に深い絆はあるのでしょうが、日々の生活は幾分ルーティーン化していたかもしれません。

少しずつ気持はずれてゆき、
ソルバン氏は、妻が本当にはなにを望んでいるのか、もう考えようともしなくなっていた・・・

ソルバン夫人の最後通牒は、彼らの愛をもう一度確認するための「最後通牒」でもあるのです。

さあ、ボールはソルバン氏の手に渡されました。
ソルバン氏はどうするのか?

つづきは第15景・・・
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マリヴォー 『コロニー』 4 [マリヴォー]

マリヴォー『コロニー』の第12景と第13景の翻訳をホームページに掲載しました。

男性vs女性。対決はいよいよ代表同士のディベートへと展開。
といっても、古い価値観に固執するばかりの男性陣は、
女性陣の雄弁を前にしておろおろするばかり・・・

しかし、要注意は、じっと女性たちを観察しながら、
その弱点を狙っている策士エルモクラット・・・

エルモクラットに気をつけて!

全18景の喜劇の、いま3分の2を越えたところです。

http://www012.upp.so-net.ne.jp/sankis-es/
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マリヴォー 『奴隷の島』 5 [マリヴォー]

「時間堂」の『奴隷の島』(黒澤世莉演出)が11月3日で2週間の公演を終えました(公演名は”smallworld’send”)。
おつかれさまー。
で、その最終日に再び見に行ってきました。
1週間前とはずいぶん変わっていた。えっ、こんなに変わるのか?

テンションとエネルギーが怒涛のように75分を駆け抜けていった・・・

最後のステージが終わった時、僕は、幕切れのトリヴェリーノと同じ台詞を5人の役者さんたちにむかって言いたい気持ちでした。
ああ、あなた方は本当にすばらしい若者たちだ・・・

「あなた方はすばらしい若者たちだ」と言う者は、もちろん若者ではありません。
・・・・・

奴隷の島のトリヴェリーノは絶対的権力システムを象徴する「賢人たち」のひとりです。
ある日、この島に流れ着いた4人の若者たちは、そこで奴隷の島という「ユートピア」の不条理を生きはじめることになる・・・

黒澤世莉はトリヴェリーノを5人目の若者だと考えました。
それが、「時間堂」の『奴隷の島』の驚くべき魅力であり、大きな問題点でした。

若者となったトリヴェリーノは、もはや冷酷で圧倒的な権力システムを象徴することができず、
彼と同世代の4人の異国の若者たちを、
ただ自らの不安定で傷つきやすい熱情によって説得するしかなくなったのです。

権力システムの姿が曖昧なものになっても、奴隷の島という不条理な状況は、
ゲームのルールとして、あいかわらずそこに存在しつづけている。
5人の若者によって繰り広げられるコメディーは魅力的で面白い。
けれど、劇のロジックはやがて破綻せざるを得ず、その不透明性が一気に露呈することになる・・・
と思われたのですが・・・

芝居が終わってみれば、破綻など目にとまらず、一列に並んで観客に挨拶する5人の若者たちの肩越しに、いとも爽やかな風が吹きぬけてゆくのです。

そう、この演出でよかったんだよ・・・

このスピードとテンポとテンションと、そしてこの「若さ」ならば、
台本はもう少しすっきりしたものに修正できるはず・・・と、
この古典喜劇の訳者である僕は考えはじめました。

なぜならば、たぶん多くの人が考えていることとは裏腹に、
翻訳とは、望むと望まざるとにかかわらず、すでにひとつの演出だからです。

マリヴォーの原作はもちろんフランス語で書かれています。
原作は、古典劇の名に恥じない、豊饒さ、奥深さ、多面性、現代性、あるいはむしろ、
いつの時代においても現代的であるという意味での「同時代性」を宿している。
そこには限りない可能性がある。
才能ある演出家たちが、シーズンごとに、その同じ原作をもとに、鮮烈で「現代的」な芝居をつくりあげ、
つぎつぎとマリヴォー像を描きかえていく・・・

翻訳は、そうした原作のポテンシャルなすべてをそのまま日本語に移せるような性格のものではありません。
ニュートラルなものではありえないのです。
翻訳者は原作のもつ可能性の「ひとつ」を選択しなければならない。
その選択は「演出」という言葉で呼ぶのがふさわしいようなものだと、僕は考えます。
翻訳者は、原作のもつ無限の可能性を失うという自らの「宿命」を引き受けなければならない。
「失墜者」として、ひとつの「演出」を選ばなければならない。
(僕はいま翻訳の話をしています。これは翻案とは全く関係ありません。)

黒澤世莉さんの演出と僕の「演出」との間にビミョーな違和感があったのは確かです。
僕の翻訳は、観客が笑うのを待っているからです。
僕の言葉たちは、黒澤演出のスピードの中で時に幾分か鈍重に響くかもしれない・・・

例えばフランス古典演劇の場合、あるいはもっと一般的に、翻訳劇の場合、
芝居作りは翻訳台本作りから始めるのが理想なのだと思います。
翻訳されたものを好きなように作り変えるという意味ではありません。
原作を翻訳する(翻案ではなく)という可能性の限界の中で(そして、その可能性の限界というのは水平線のごとく遥かに広がっているはずです)、
演出家の演出と翻訳家の「演出」との違和感をできるだけゼロに近付けるということです。

翻訳は演劇とともに生成しつづけるものでなければならない。

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マリヴォー 『コロニー』&『奴隷の島』 [マリヴォー]

ホームページsanki’s empty space 更新しました。
マリヴォー『コロニー』の第10景と第11景を掲載。

男性vs女性の全面対決という「時代の波」に引き裂かれる恋人たち・・・
と言っても、もちろん喜劇ですから・・・
むしろこの場面は繊細かつキュートに演じないと、
ただの「お馬鹿コント」になってしまいそうなほどの喜劇です。

お楽しみください。
http://www012.upp.so-net.ne.jp/sankis-es/

そして、
「時間堂」の『奴隷の島』(黒澤世莉演出)はいよいよ11月3日まで。
残すところ3ステージ(公演名は『スモールワールズエンド』)。

11月1、2、3日とも前売り券は完売御礼のようです・・・が、
当日券が「若干枚」出るそうなので、
しまった、予約してなかったという人はぜひそちらで。

面白くもまた楽しいことはもちろんなのですが、
なかなか他所では見られない演目&演出なので、
「好み」とかいう問題を超えて、体験として興味深いと思います。

「時間堂」こちら: http://www.jikando.com/

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マリヴォー 『コロニー』 2 [マリヴォー]

ホームページ sanki's empty space 更新しました。

マリヴォー第2弾『コロニー』の第9景をあらたに掲載。
第9景は『コロニー』の見せ場ともいうべき、景としてもかなり長いものです。

男たちからの「政権交代」を掲げる女たちのコングレス。
格調高い演説から始まるものの・・・
ジェンダー的役割を拒否するためにリーダーの提出したマニフェスト、
「女はみな醜くなるべし」
というところから、話はこじれて大騒ぎ・・・

抱腹絶倒の18世紀フランス古典喜劇です。

URL http://www012.upp.so-net.ne.jp/sankis-es/


そして、

「時間堂」のマリヴォー『奴隷の島』(黒澤世莉演出)は今日で公演3日目
(公演名は『奴隷の島』ではなく、smallworld'send スモールワールズエンドです)。

僕は、あろうことか、まだ見に行けていません・・・が・・・
前回の記事で紹介したワークインプログレス、
本番前に観客を入れてしまって、その意見を聞くという大胆な試み、
その最終日に『奴隷の島』は大変な進化を遂げたらしい。
「らしい」というのは、その時も僕はそこにいなかったからなのですが・・・
「5人の役者が客席を巻き込み、グル―ヴ感が劇場空間を支配した」
という証言を得ております。


また、「時間堂」がSWITCHという雑誌に紹介されたという情報も得て、
本屋に飛んで行きました。
確かに紹介されている。しかし・・・
今回の公演紹介の中に、なんと、マリヴォーの名前がないではないか!
なんというピンボケの記事なのだ!

いやいや、そんなことは言わずに、紹介されたことをみなさまとともに喜びたい・・・

「時間堂」のHP: http://www.jikando.com/ 
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マリヴォー 『奴隷の島』 4 [マリヴォー]

IMG_0173_edited-1.jpg「時間堂」の『奴隷の島』(黒澤世莉演出)は来週の公演開幕をひかえて、新しい創作過程に入りました。

その名も「ワークインプログレス」!

作品はまだ完成はしていないものの、かなり出来上がってきた。
この段階で、観客に見せて、遠慮のない意見を聞こうという・・・
けっこう勇気のいることなんじゃないのかな、と僕なんかは思いますけど・・・

それで、昨日、そのワークインプログレスを見に行ってきました。
ワークインプログレスは、明日月曜日までやっています。
興味ある方はぜひ行ってみてください。
演出家や役者さんの苦労はそっちのけで、ひとりの観客としてけっこう思い切った意見を述べてかまわないみたいです。しかも無料です。

写真は、7時からのワークインプログレス開始を前に、身体をほぐしたり、台詞合わせをしたり、ご飯を食べたりしているところ。
写真を撮った本人的には、なかなかいい雰囲気を伝えている写真だと、
ちょっと得意顔なんですがどうでしょう・・・

21日から始まる「時間堂」の公演は"smallworld's end"というタイトルで、
比較的短いものから、ごく短いもの(5分)まで、5作品を集め、
盛りだくさんにまとめて上演するという面白い企画です。
写真に写っている役者さんも、マリヴォーに出る人、ピンターに出る人、チェーホフに出る人、そして岸田國士に出る人とさまざま。
実際の公演は、マリヴォー70分、岸田國士とチェーホフとピンターの3本で60分、アゴタ・クリストフ60分の3セットに分かれていて、途中それぞれ20分の休憩があります。

ワークインプログレスではその3セットから毎回2セットを選んでまわしながらやっています。昨日はマリヴォーとチェーホフ・グループの2セットが演じられました。
観客は、お芝居大好き的小学生少女(彼女自身は確かバレエをやってるのかな。間違ってたらごめんなさい)、それから、土曜の夕べは軽く芝居でもいく?的ないい感じの壮年カップルなどなど・・・僕なんか、そういう客席の景色にもう感動。やっぱり、芝居ってさ、これなんだよねー、みたいな・・・

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マリヴォー 『奴隷の島』 3 [マリヴォー]

IMG_0152_edited-1.jpg「時間堂」はただいま10月21日から始まる smallworld'send の猛練習中。
昨日は、『奴隷の島』の稽古日だったので、また稽古場におじゃましました。

写真は「王子スタジオ1」。稽古場でもあり、またここが公演会場にもなります。
いま、アルレッキーノ(赤いシャツ)とイフィクラテスが難破して奴隷の島に流れついたシーンの練習中。

椅子に座っているのが演出家の黒澤世莉さん。
右端にちょっと水色のシャツが見えているのがユーフロジーナ。
左端に光って見えるのが道路傍の自販機。
通行人その1が自転車でスタジオ前を駆け抜けていきます。

芝居が実際につくられていくプロセスに立ち会えることは、とても貴重な体験です。
次から次へと目から鱗が落ちていきます。
鱗は一体何枚あったんだ、いや、まだあとどれくらい残っているんだという・・・

前回おじゃました時は、稽古が始まって間もないころ。みんな自由にはじけている感じで、
稽古そのものがパフォーマンスとして見ていて楽しかった。

昨日は、役者さんたちが、ちょっと全体のイメージみたいなものを意識し始めたフェーズのよう。
模索感というのか、迷い感というものがあって、
ああ、これがまさに芝居の「生成」というものなのか、とまたまた感心して・・・

『奴隷の島』を見に来てくれる人たちのほとんどにとって、
マリヴォーは初体験なのだろう、ということは理解していました。

でも、そういえば、マリヴォーを演ずる役者さんたちにとっても、
マリヴォーは初体験なんだ、ということをぜんぜん理解していませんでした。
考えてみれば当たり前のことだったんですよね。
マリヴォーの芝居なんて、っていうか、フランス古典劇なんて
演る機会がない、というよりも、そもそも見る機会がないんだから・・・


古典劇というとなにか堅苦しい感じがしますよね。むずかしい、楽しくない、喜劇なのに笑えない・・・

古典劇というとシェークスピアとかをまず思い浮かべる?それから、シェークスピアって言うと、とりあえず蜷川シェークスピアとか思い浮かべる?・・・
古典というと、あと、チェーホフ、それからイプセン?・・・このあたりは近代演劇・・・

でも、いま黒澤世莉さんが『奴隷の島』でやろうとしているのは、なにか新しい演劇領域の開拓の試みである、ような気が、僕にはしています。
もしみなさんが古典というものに、なにかあるイメージをもっていたとしたら、
たぶん、そのイメージを裏切ろうとするもの・・・

フランス18世紀、17世紀の喜劇や悲劇の、フランスでのありかたというのは、
例えば日本の能や歌舞伎のような伝統演劇とは違います。
芸を代々伝え、型を大事にまもっていくというようなものではありません。

僕が近年に見て面白かったマリヴォーは、『恋のサプライズ2』(2というのは1があるから)という芝居で、演出家はリュック・ボンディというドイツ人、つまり「外人」です。
2007-2008 のシーズンにテアトル・デ・ザマンディエというところでかかって、大人気を取り、
2008-2009 のシーズンには、ピーター・ブルックの劇場ブッフ・デュ・ノールで再演されました。

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マリヴォー 『コロニー』 [マリヴォー]

ブログの更新がちょっと遅れています。
けれど、ホームページの方の更新が着々と進んでおります。

マリヴォーの喜劇 『コロニー』 の第六景、第七景、第八景の翻訳を、
あらたに掲載いたしました。

みなさんぜひホームページの方にもお越し下さい。

URL http://www012.upp.so-net.ne.jp/sankis-es/
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マリヴォー『奴隷の島』2 [マリヴォー]

SANY0073_edited-1.jpg10月21日から、王子駅のすぐ近く、王子スタジオ1というところで、マリヴォーの『奴隷の島』が上演されます。

「時間堂」の黒澤世莉さんが、僕の訳した『奴隷の島』に興味を持ってくれて、
「スモールワールズエンド」(「小さな世界の果て」という意味なのかな?)という公演の中で上演してもらえることになったのです。

「スモールワールズエンド」は、『奴隷の島』のほかに、
岸田國士の『かんしゃく玉』
チェーホフの『熊』
ハロルド・ピンターの『工場でのもめごと』
アゴタ・クリストフの『星々を恐れよ』
という、比較的短いお芝居からものすごく短いお芝居まで、
全部で5つの作品を集めて上演するという面白い公演です。

短い芝居ですが、全部集まると3時間ぐらいにはなるのかな、
途中2回ほど休憩をはさんで、まあ4時間がかり?

日によって、上演順が逆転します。
『奴隷の島』は最初か最後になるみたいなので、これだけはぜひ見に来てください。
で、見に来たら、ほかの芝居もぜひ見て帰ってください。

「練習しているところ見学したいのですけど」と、黒澤さんに言ったら、
「ああ、いいですよ」と言ってくれたので、
昨日、練習場の王子スタジオ1(公演会場と同じ)に見に行ってきました。

写真は、その王子スタジオ。ご覧のようにガラス張りで外から練習風景が見えます。
練習中もいろんな人が集まってきて、ガラスの外から中をのぞきます。
立ち止まったまま動かなくなる人もいます。
お芝居をつくっていくプロセスそれ自体が、すでに芝居になっているんだ・・・
とても面白いと思いました。

僕は、ガラスの中に入れてもらって、練習を見物してきました。
SANY0075_edited-1.jpg
マリヴォーの翻訳をはじめて以来、芝居が実際にどんなふうに出来上がっていくのかをぜひ見てみたいと思っていました。
翻訳するときは、言葉のうちに常に身体を感じようとしています。
フランス語を日本語に移すのではなく、フランス語のうちにある身体を、
そっくりそのまま日本語のうちに再現したい・・・
まあ、たとえば、そんなことを考えながら訳しています。

でも、僕の訳した言葉(身体)たちが、実際の役者さんたちの、
実際の身体から発せられているのを見ると、それは本当に大きな感動です。



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マリヴォー 『奴隷の島』 [マリヴォー]

マリヴォー 『奴隷の島』 公演決定!

マリヴォーは18世紀フランスの喜劇作家です。面白いのです。
HP "sanki's empty space" で、マリヴォーの紹介をし、また翻訳も掲載しています。

ちなみに僕は「フランス文学」を仕事(なりわい)にしています。
現代の日本で、18世紀フランスの喜劇作家に演劇的生命を吹き込む・・・
そのための翻訳についてあれこれと考えています。

「時間堂」の黒澤世莉さんが、このマリヴォーの『奴隷の島』を上演してくれることになりました。
『奴隷の島』というタイトルが一見 heavy ですが、抱腹絶倒の一幕喜劇です。
みなさまお誘い合わせのうえぜひ見に来てください。
新作上演とはまた違った演劇の面白さを発見できると思います。

公演期間は: 2009年10月21日から11月3日まで。
公演会場は: 王子スタジオ1。
詳しくは「時間堂」のHPで: http://www.jikando.com/
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