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『奴隷の島』演出付き台本について [マリヴォー]

先日、ホームページをリニューアルしました。その際に、
『奴隷の島』の演出付き台本を新たに掲載しました。
その演出についてです。

この演出付き台本は、私のゼミ授業でリーディング公演をしました、
2014年だったと思いますが、その時に用いた台本です。
リーディング公演ですが、この芝居は、少し演出をつけないと、
観ていてわかりにくいところが結構あります。

例えば、戯曲テクストの最初の台詞からリーディングを始めると、
主人イフィクラテスと従者アルレーッキーノの関係が
いまいちつかめていないところから芝居が始まってしまう。
イフィクラテスは悪人ではないのですが、主人という立場に慣れて、
傲慢になっている。自分勝手で、従者を、それこそ
「奴隷」のように扱っている・・・そのベースを作っておかないと、
その後の主従の権力関係の逆転が説得力を持たないことになります。

それで、芝居が始まる前にプロローグというものを置いて、
いくつか「前提」を作っておくわけです。
この演出では、まず「船の難破」から始まります。
それから、島に打ち上げられた主人たちが、その従者をこき使う、
その身勝手さが描き出される・・・
それがリーディングの場合も必要になります。

『奴隷の島』は、マリヴォーが「イタリア人劇団」のために書いた芝居です。
マリヴォーの芝居はフランス語で書かれており、従って、
「イタリア人劇団」といっても、言葉はフランス語で上演するのですが、
その演劇スタイルは、いわゆるコメディア・デ・ラルテ風のもの。
コメディア・デ・ラルテは身体表現を重視する即興性の強い演劇形式です。
もともとは、仮面をつけて演じるドタバタ喜劇。
マリヴォー劇のアルレーッキーノ(アルルカン)が仮面をつけて登場するのは、
そこから来ています。

『奴隷の島』では、テクストの最初の台詞の前に、そういう
「イタリア人劇団」特有のアップテンポの身体表現があって、
観客を大笑いさせていた・・・と想像できます。
リーディングでは、そこまではなかなかできませんが、
やはりプロローグは置いたほうがわかりやすい。

台詞の開始以降は、リーディング公演なので、演出は、移動・・・
「a地点からb地点へ移動する」といった・・・移動が
中心となっています。台本を持って動くのですが、ある意味
“幾何学的な”動きが、観ていても面白いのではないかと思います。

演劇部のみなさん、演劇に興味のあるみなさん、
この演出付き台本を参考にして、リーディングしてみませんか?





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